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この記事の立場
新NISAでインデックス投資をしている、ごく普通の30代会社員(副業あり)が、「オルカン」と「8資産均等型」のどちらを選ぶか迷ったときの考え方を、自分なりに整理してみたものです。利益を保証する話ではありませんし、投資判断はあくまで自己責任で。リスクの面も正直に書きます。
新NISAを始めて最初にぶつかる壁が、「結局どのファンドを買えばいいのか」という問題ではないでしょうか。
候補としてよく名前が挙がるのが、全世界株式に連動する通称「オルカン」と、株式・債券・REITなどに分けて投資する「8資産均等型(バランス型)」の2つです。
どちらも1本で分散が完結する、いわゆる「ほったらかし」向けの定番です。ただ、中身はかなり性格が違います。
私自身、積立を始めた頃にこの2つでずいぶん迷いました。値動きの幅をどこまで受け入れられるか、という自分の感覚と向き合う作業だったように思います。
この記事では、両者の構造の違い、過去の値動きの傾向、コスト、向いている人のタイプを、できるだけ中立に並べて比べてみます。最後にFAQも付けました。
先に結論(3行)
①リターンの期待値とシンプルさを重視するならオルカン。②値動きの幅をできるだけ抑えて、暴落時に積立を続けやすくしたいなら8資産均等型。③「分散重視ならどっち」の答えは、分散の意味を”資産クラスの分散”と取るなら8資産均等型、”地域・銘柄の分散”と取るならオルカンで、人によって割れます。
そもそもオルカンと8資産均等型は何が違うのか
まず中身の違いをはっきりさせておきます。ここを曖昧にしたまま「どっちが儲かる?」だけで選ぶと、後で値動きに振り回されやすいからです。
オルカン(全世界株式)の中身
オルカンは、先進国から新興国まで、世界中の上場企業の株式にまとめて投資します。代表的なものはMSCI ACWIという指数に連動する設計です(出典: 各運用会社の交付目論見書)。
中身は100%株式です。地域や銘柄は数千社に分散されていますが、「資産クラス」としては株式一本に賭けている形になります。
- 米国の比率が6割前後と高め(時価総額に応じて変動)
- 1本で世界中の株式に投資できる
- 債券やREIT(不動産)は含まない
8資産均等型(バランス型)の中身
8資産均等型は、性格の異なる8つの資産に、おおむね均等(各12.5%前後)で投資する設計です(出典: 各運用会社の交付目論見書)。代表的な構成は次の通りです。
- 国内株式 / 先進国株式 / 新興国株式
- 国内債券 / 先進国債券 / 新興国債券
- 国内REIT / 先進国REIT
株式は全体の約37.5%にとどまり、残りは債券とREITです。株が下がる局面で、債券が値動きをいくらか和らげてくれることを狙った構成と言えます。
ここがポイント
「分散」という言葉が両者で意味が違います。オルカンは”地域・銘柄の分散”、8資産均等型は”資産クラス(株・債券・不動産)の分散”。タイトルの『分散重視ならどっち』が割れるのは、この定義のズレが原因だと思っています。
一目でわかる比較表
主な違いを表にまとめました。数値は時期や商品で変わるので、目安として見てください。
| 項目 | オルカン(全世界株式) | 8資産均等型 |
|---|---|---|
| 資産の中身 | 株式100% | 株式約37.5%/債券・REITなど |
| 期待リターン | 相対的に高め | 相対的に低め〜中位 |
| 値動きの幅(リスク) | 大きい | 抑えめ |
| 信託報酬(年率の目安) | 0.05〜0.06%前後 | 0.14〜0.55%前後 |
| 暴落時の下落 | 深くなりやすい | 比較的浅くなりやすい |
| 分散の種類 | 地域・銘柄の分散 | 資産クラスの分散 |
| 向いている人 | 長期で値動きに耐えられる人 | 値動きを抑えて続けたい人 |
※信託報酬・構成比は商品によって異なります。実際の数値は各社の目論見書でご確認ください(出典: 各運用会社の交付目論見書)。
過去の値動きで見る、両者の性格の違い
数字を見ると、性格の違いがはっきりします。あくまで過去の傾向であって、未来を約束するものではない点は最初にお断りしておきます。
上昇局面ではオルカンが伸びやすい
世界的に株価が上がる局面では、株式100%のオルカンが素直に伸びます。一方で8資産均等型は、債券やREITが足を引っ張る形になり、上昇幅は控えめになりがちです。
「みんな儲かっている時に、自分だけ伸びが鈍い」と感じる場面が出てくるのは、8資産均等型の宿命とも言えます。
暴落局面では8資産均等型の下げが浅くなりやすい
逆に株価が大きく下げる局面では、債券をクッションに持つ8資産均等型のほうが、下落幅が浅くなる傾向があります。
2020年のコロナショックのような急落では、株式100%の指数が短期間で大きく値を下げました(出典: 各種指数の公表データ)。同じ時期、債券を組み込んだバランス型は下落が相対的に小さく収まった例が知られています。
正直なデメリット
どちらも元本割れのリスクはあります。オルカンは株式100%ゆえに下落が深くなりやすく、8資産均等型は債券やREITを含むぶん、金利上昇局面では債券価格が下がり、思ったほどクッションにならない年もあります。「バランス型だから安全」と言い切れるわけではない、というのは正直に書いておきたいところです。
コストの差は長期で効いてくる
地味ですが、長期の積立では信託報酬(運用にかかる手数料)の差がじわりと効きます。
オルカンの代表的な商品は年率0.05〜0.06%前後と、かなり低い水準です。一方で8資産均等型は0.1%台のものから0.5%超のものまで幅があります(出典: 各運用会社の交付目論見書)。
仮に同じリターンだったとしても、コストが高いぶんだけ手元に残る額は減ります。数字で簡単に見てみます。
| 前提 | 信託報酬0.06% | 信託報酬0.5% |
|---|---|---|
| 毎月3万円・20年・年率5%運用と仮定 | 約1,232万円 | 約1,179万円 |
| 差額(コスト分の概算) | およそ50万円前後の差 | |
※あくまで一定の運用利回りを仮定した試算で、実際の運用成果を示すものではありません。手数料率の違いがおよぼす影響感をつかむための概算です。
もちろん、8資産均等型は手数料が高いぶん「自動でリバランスしてくれる」という手間代の側面もあります。コストだけで優劣を決めるのではなく、何にお金を払っているのかを意識したいところです。
リバランスの手間という、見えにくい違い
もう一つ、表には出にくいけれど大事な違いがあります。「リバランス」の手間です。
リバランスとは、値上がり・値下がりで崩れた資産配分を元の比率に戻す作業のことです。たとえば株が大きく上がると、ポートフォリオに占める株の割合が増え、当初想定よりリスクが高い状態になります。これを売買で調整するのがリバランスです。
オルカンは中身が株式100%なので、1本だけ持つかぎりリバランスは基本的に不要です。ただし、自分で債券などを別途組み合わせている場合は、その配分を自分で管理する必要が出てきます。
一方で8資産均等型は、運用会社がファンドの中で自動的にリバランスしてくれます。8つの資産の比率を均等に保つ作業を、自分でやらなくて済むわけです。先ほど「手数料が高いぶんの手間代」と書いたのは、この部分を指しています。
手間を取るか、コストを取るか
自分で配分管理ができて、その手間を惜しまないならオルカン+αで低コストにまとめられます。逆に「考えるのが面倒、ほったらかしにしたい」なら、多少コストを払ってでも8資産均等型に任せる、という割り切りも合理的だと思います。どちらが偉いという話ではなく、自分の手間の許容量との相談です。
迷ったときにやりがちな失敗
選ぶ過程で、私自身も含めてつまずきやすいポイントがいくつかあります。先に知っておくと避けやすいので、3つ挙げておきます。
失敗1:直近のリターンだけで決めてしまう
「ここ数年オルカンのほうが伸びている」という理由だけで飛びつくと、上昇局面の数字に引っ張られた判断になりがちです。長期で持つなら、暴落したときに自分が耐えられるかまで含めて考えたほうが、後悔は少ないように思います。
失敗2:値動きの幅を軽く見積もる
シミュレーションの右肩上がりのグラフを見ていると、つい「上がり続ける」前提で考えてしまいます。実際には、株式100%なら一時的に3〜4割下がる年があってもおかしくありません(出典: 過去の各種指数の推移)。下がった瞬間に怖くなって売る、というのがいちばん避けたいパターンです。
失敗3:「バランス型=完全に安全」と誤解する
8資産均等型は値動きが抑えめなだけで、損をしない商品ではありません。債券やREITも下がるときは下がります。安全資産ではなく「相対的に値動きが小さい投資商品」と捉えるのが正確だと感じています。
どっちを選ぶ?タイプ別の考え方
結論を一つに絞るより、自分がどちらのタイプに近いかで考えるのが現実的だと感じています。
オルカンが向いている人
- 投資期間が15年〜20年以上と長く取れる
- 暴落で資産が3〜4割減っても、淡々と積立を続けられる自信がある
- とにかくシンプルに、低コストで世界経済の成長に乗りたい
- 株式の値動きの幅を「リターンの源泉」として受け入れられる
8資産均等型が向いている人
- 値動きの幅が大きいと不安で、積立をやめたくなりそう
- 投資期間が比較的短め、または近い将来に使う予定がある
- 株・債券・不動産まで含めて「資産の種類」で分散したい
- リバランスを自分でやる手間を省きたい
両方使うという選択肢
どちらか一方に絞る必要はありません。コア(中心)をオルカン、サテライト(補助)に8資産均等型、といった組み合わせも考えられます。私自身も「全部オルカンか、少しクッションを混ぜるか」で何度か配分を見直してきました。正解は一つではない、というのが実感です。
選ぶ前に確認したい3つのこと
- 使う時期を決める:10年以上先まで使わないお金なら株式比率を高めに、数年後に使うかもしれないお金なら値動きを抑えた配分を検討する。
- 暴落時の自分を想像する:資産が一時的に3割減ったとき、積立を止めずにいられそうか。止めてしまいそうなら、値動きの小さい選択肢のほうが続けやすい。
- コストと中身を目論見書で確認する:同じ「8資産均等型」でも手数料に差があります。商品名の印象ではなく、数字で見ること。
続けられる配分が、いちばん強い
長期投資でいちばん効くのは、相場が荒れても積立を止めないことだと思っています。理屈の上で最もリターンが高い配分でも、自分が不安で売ってしまったら意味がありません。「自分が夜ぐっすり眠れる配分」を選ぶ、という基準は意外とバカにできない気がします。
ケース別に考える、現実的な選び方
抽象論だけだと判断しづらいので、よくある状況を3つ並べてみます。あくまで一例で、これが唯一の答えというわけではありません。
ケースA:30代・積立期間20年以上・毎月の余裕資金で投資
使うのが20年以上先で、毎月の給料からコツコツ積み立てる前提なら、値動きの幅を時間がならしてくれる可能性が高くなります。こうしたケースでは、リターンの期待値が高くコストの低いオルカンを軸に据える人が多い印象です。途中で暴落があっても、積立を止めずに「安く買えるタイミング」と捉えられるかが分かれ目になります。
ケースB:40代・10年程度で使う予定・値動きが気になる
10年前後で使う見込みがあり、しかも値動きが大きいと不安、という場合は、下落を浅く抑えたい気持ちが強くなります。8資産均等型のような値動きの小さい配分のほうが、夜よく眠れて積立を続けやすい、というケースもあります。期待リターンは下がりますが、「途中で投げ出さないこと」を優先する選び方です。
ケースC:どちらとも決めきれない
性格的にどちらとも言い切れないなら、最初から比率を分けてしまう手もあります。たとえばオルカン7・8資産均等型3、のように混ぜておけば、上昇局面の取りこぼしと下落局面の不安を、どちらもほどほどに抑えられます。完璧を狙わず「自分が続けられる中間点」を取りにいく発想です。
迷ったら、まず少額で始める
頭で考えるだけでは、自分が値動きにどう反応するか分かりません。少額で実際に持ってみて、下がったときの自分の気持ちを観察する、というのは案外有効だと思います。配分はあとから見直せます。最初の1本で人生が決まるわけではない、と思うと少し気が楽になります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 結局、初心者はどちらを選べばいいですか?
一概には言えませんが、長期で続ける前提なら低コストでシンプルなオルカンを選ぶ人が多い印象です。ただ、値動きが怖くて積立を止めてしまいそうな方は、下げの浅い8資産均等型のほうが結果的に続けやすいこともあります。性格との相性で選ぶのが現実的だと思います。
Q2. 両方買うのはアリですか?
アリだと考えます。リターン重視のオルカンを軸に、値動きをならす目的で8資産均等型を一部混ぜる、という持ち方もあります。ただし管理する商品が増えるので、シンプルさを優先したい人は1本に絞るのも手です。
Q3. 8資産均等型は「安全」なのですか?
「安全」と言い切るのは避けたいところです。株式比率が低いぶん下落は浅くなりやすいものの、債券やREITも値下がりします。元本割れのリスクはゼロではありません。あくまで「値動きの幅が相対的に小さい」という理解が正確だと思います。
Q4. 新NISAではどちらも非課税で持てますか?
どちらも、対象として認められている投資信託であれば新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠で保有できる場合が多いです。ただし対象商品は金融機関や時期で異なるため、利用する証券会社の取扱一覧でご確認ください(出典: 各金融機関の公式情報)。
Q5. 途中で乗り換えてもいいですか?
方針が変わったら見直すこと自体は問題ありません。ただ、頻繁に売買すると非課税枠の使い方や値動きのタイミングで不利になることもあります。乗り換えるなら理由を整理してから、というくらいの慎重さがあってよいと思います。
最後に(免責)
本記事は情報整理を目的としたもので、特定の商品の購入を勧めるものではありません。投資には元本割れのリスクがあり、将来の運用成果を保証するものでもありません。最終的な投資判断はご自身の責任でお願いします。気になる方は、各社の目論見書や金融庁などの公的情報もあわせてご確認ください。
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